イランは中東の大国のひとつです。
ほとんどの日本人はイラクと区別が付かないくらい馴染みがない国かもしれません。
国際社会から経済制裁を受けていることもあり、悪いニュースが日本に届くことが多いです。
そのためイランは危険、怖いというイメージがあるかもしれません。
今回はそんな未知の国イランに一人旅に行くのは危険かどうかを経験者の私が解説します!
私は学生時代にペルシャ語を習得し、イランに総計2か月一人旅をしたことがあります。そして現地で出会ったイラン人女性に恋をし結婚しています。
ペルシャ語で直接現地のイラン人と交流した経験から、日本のニュースからは分からないイランの本当の実態を伝えるので最後まで読んでね!
それではいってみよう!
平常時は想像ほど危険ではない
平常時というのは反政府デモや、要人暗殺・サイバー攻撃などが起きていないときです。
こう聞くと「うわ怖い…」と思ったかもしれません。
2023年8月現在のイランは国内外で政治的な問題を抱えているので、安全な国とは言えません。
ただ戦時中というわけではないので毎日のように危険な状態が全土に広まっているということはありません。
特別な緊張状態がない場合は、ほかの国でも用心するのと同じように用心していれば特別危ないことはそう多くありません。
事実として、私自身は身の危険を感じたことはありませんでした。
イラン人は外国人に優しいひとが多い
どこの国でも外国人が好きな人もいれば、避ける人や嫌う人もいます。
個人的な印象では、「中国人!」と遠くから言われることはありますがイラン人は外国人に優しい人が多いです。
日本人と聞くと「侍」「空手」「おしん」「黒澤明」などについて楽しそうに話してくれる人もいます。
街を歩いていると「どこから来たの?」「ようこそ!」と気軽に声をかけてくる人もけっこういます。もちろん全員信用することはできませんが、私は悪意ある人に声をかけられて騙された経験はありません。
聞いた話では強盗も確かにいます。所持品などについては十分注意する必要がありますが、極端に人を避けては一人旅の楽しさが半減してしまいますよね。
イランにはお客さんを大切にもてなす文化があるので、家に招待されることもあるかもしれません。悪意があるとは限らないので、極端に警戒する必要はありません。見極めは大変ですがこういったことはよくあることだということも認識しておくとイラン旅を楽しめるでしょう。
注意すべきこと
所持品から目を離さない
イランに限らず海外旅行をするならどこへ行っても所持品から目を離してはいけません。
イランはアメリカを中心とした経済制裁の影響で経済状況が非常に悪くなっています。
どれほど悪いかというと対ドルでの価値がなんと世界最下位!
つまりイランの通貨は世界一価値がないとされるほどで経済状況が最悪なのです。
このような状況のせいで国民の生活は苦しく、犯罪率を増加させています。
少しだけだとしても荷物から目を離すことは避けましょう。
服装に注意(特に女性)
イランでは女性はスカーフで髪を覆い、体の輪郭が見えるような服や露出度が高い服は着ることができません。
国内でもこれによるデモが頻繁に起きていて、一時期は寛容になったものの風紀警察が取り締まりを行っています。
外国人には緩いと聞いたことがありますが、郷に入っては郷に従えということで、不要な挑戦はやめておきましょう。
男性もタンクトップ、短パンやサンダルなどで出歩くと異様な目で見られるかもしれません。
ましてモスクなどにそんなラフな服装で行ったら、敬虔な人は気分を悪くするでしょう。
不要なトラブルを避けるため、服装には注意しましょう。
両替に注意
現金両替が必須
イランは経済制裁の影響でクレジットカードが使えないうえ、国際送金も制限されています。
そのため、現地でドルやユーロからイラン・リヤールに両替するのが一般的です。
ただ先述したように、イランの通貨の価値が低いのでちょっとだけ両替したつもりでもとんでもない札束が返ってくることがあります。(硬貨はほとんど価値がないのであまり出回っていません。)
量が多く数枚抜かれていても気づかないかもしれないので、めんどくさいですが念のため数えましょう…
また、両替所から出てきた外国人は強盗の絶好のターゲットです。
一か所に全額しまうのではなく分散して持ち運び、人通りが少ない道に入るのも絶対にやめましょう。
偽札に注意
経済状況の悪化のゆえ、偽札も出回っています。
道端で両替しないかと声をかけてくるひとがいますが、危険なのでやめましょう。
定休日で両替所が閉まっていても、信頼できる両替所が開くまで待つのが賢明です。
偽札をつかまされたら金を捨てたのと同じだし、最悪逮捕されるかもしれないです。
為替レートに注意
公的な銀行や大きなホテルで両替をすることができます。
ただイランでは公定レートと実質レートのように為替レートが2つ存在します。公定レートはレートが悪いので、できれば実質レートで両替をしている両替所のほうがお得です。
公定レートで両替しているところは比較的信用度が高い(確信はありません…)ので、安全といえば安全かもしれませんが、どちらを選ぶかはあなた次第です(笑)
値段の桁に気を付ける
イランでは自国通貨の価値があまりに低いためインフレがすさまじいです。
10万リヤールなど普通に使うので一桁消したトマーンという単位がよく使われます。
リヤールで言っていると思ったらトマーンだったということになれば10倍多く支払うことになるので注意です!
強盗に遭ったら命を第一優先に!
世界共通ですが、強盗に遭ったら要求されたものを渡しましょう。
盗られたものが戻ってくる保証はありませんが命は助かるはずです。
どれだけ大切なものがあっても命には代えられないので、要求されたものを出して逃げてください。
決して抵抗はしないように!決してです!!
タクシー選びに注意
イランは車社会です。
東京は車より歩く人が多いですが、イランでは真逆です。
そのため一般的に自家用車以外ではタクシーが人々の足になっています。
テヘランでは地下鉄も利用できますが、地方に行けばほぼタクシーで観光することになるでしょう。
個人的な経験として、次のようなタクシーはぼったくる可能性が高いです。
- ホテルや旅館が用意するタクシー
- ホテル前に泊まってるタクシー
- 高速バスを降りてすぐ声をかけてくるタクシー
外国人ならぼったくれるとわかっている人がいる可能性が高いので、少し歩いて別のタクシーを自分で拾いましょう。
密造酒・大麻に注意
イランはイスラーム共和制というイスラームが最高法規という体制をとっています。(実際のところは議論もありますが…)
イスラームの戒律では飲酒が禁止されており、イラン全土で酒類の販売は違法です。
(キリスト教アルメニア人など一部の非イスラーム信者は見逃されているという噂は聞いたことありますが)
ただ実際、イラン全員が敬虔であるということはありません。特に若者の間ではイスラーム離れが顕著です。
自宅で違法に酒も醸造していたり、隠れて販売していたりしています。
このような密造酒によって死者も出ています。
おもてなしとして家に招待されてふるまわれることもないことはないです。
断りずらいかもしれませんがそういった危険があることを認識しておきましょう。
密輸されたウイスキーやワインは安全かもしれませんが国の情勢を鑑みて自己責任です。
政府機関・空港近くでは絶対に撮影しない
政府機関や空港にような社会インフラ近くで撮影をすると最悪の場合スパイとして拘束され、強制送還、今後の入国拒否の措置を取られる可能性があります。
前例として、日本人が空港で撮影をしていたのを警備員に見つかり、国外追放になった事例があるそうです。
軍事関連施設や政府関連施設の近くだとさらに重い措置を取られるかもしれません。
スマホ撮影であっても危険なのでやめましょう!
ビザとパスポートは常に携帯
これもどこの国でも気を付けるべきことですが、イランではテロや暗殺や工作のほか、不法移民問題も抱えているのでパスポートとビザを携帯していないと大きな問題になる可能性があります。
実体験として、夜行バスで移動していたところ朝4時くらいに軍の検問でひとりだけ降ろされてビザとパスポートの提示をし、尋問されたことがあります。
私はペルシャ語が分かるので受け答えしましたが、言葉が通じないとけっこう怖い思いをするかもしれません。
やましいことはないので恐れる必要はないですが、パスポートとビザがなかったら不法移民だと疑われてどこかに連行されていたかもしれないです。
ちなみにバスは待っていてくれたので、そのあと戻れました。
(そのあとすぐ目的地に着いたので寝れなかったけど…)
パスポートとビザは肌身離さず持っておきましょう!
イスラエル・アメリカ入国記録があると注意
現在のイラン・イスラーム共和国は親米の世俗的王政を倒して生まれたイスラーム政権です。イスラーム教徒の多いパレスチナと対立関係のあるイスラエルはアメリカと並ぶ敵対関係にあります。
イスラエルの諜報員がイランの各科学者を暗殺したり、アメリカがイラン革命防衛隊の司令官を空爆して殺害したりするなど、ほとんど戦争関係にある関係です。
そのため、パスポートに渡航歴があるとスパイと疑われる可能性があります。
確実に拒否されるわけではないと思いますが、アメリカやイスラエルへの入国履歴がパスポートに残っているなら、パスポート更新のタイミングまで待つのも手です。
ただそのあとアメリカ入国にビザが必要になり、イスラエルにはおそらく入国できないので厄介です…
宗教行事には敬意を
イランには宗教的に熱心な人もたくさんいます。
イランはイスラームを中心に回っているので、
宗教機運が高まるラマダン期間やイランの国教であるイスラーム・シーア派最大の宗教行事、アーシュラーの時期は緊張が高まる傾向にあります。
そのような期間に調子に乗った行動は人々を刺激してしまう可能性があるのでやめましょう。
ラマダン中は日中飲食店は閉店している
ラマダンはイスラーム教徒が日中の間、断食する月です。
街中の飲食店が日中は営業していないので、夜の間に食料を調達しておきましょう。
食べ物だけでなく飲み物も控えるのが基本なので、外で食べ歩きや飲み歩きをすると嫌な目で見られるかもしれないので注意しましょう。
なおラマダンはイスラーム暦の月なので、毎年時期が変動します。最新の時期を渡航前に調べておきましょう。
偽警察に注意
これも経済状況が原因で、警察を装って金品を脅し取る事件が発生しています。
偽の制服を着ており、詳細は省略しますが銃の携行を許されている市民がいるので銃を持っているからと言って警察だとは限りません。
見分けるのは難しいので対処法はないけど、こんな危険があるということも覚えておいてね。
デモには近づかない
イランでは時折、反政府デモや非友好国大使館近くでデモが行われることがあります。
たいていの場合、民衆と治安部隊の衝突が起きたり、デモ隊が暴徒化することがあるので面白半分に近づくと命を落とす可能性があります。
デモのたびに死者や大量の逮捕者が出ており、イラン国内外で大きな問題になっています。
非日常の興奮、怖いもの見たさで見に行きたくなるかもしれませんが、以降何も見れなくなる可能性が非常に高いので絶対に避けましょう。
デモは政府関連施設や外国の大使館が多くあるテヘランや、宗教都市と呼ばれるコム・マシュハド、少数民族の住む地域(主に国境沿い)で多く発生している印象です。
イランは美しい
イランひいきの私が言うには、イランは最も魅力的な中東の国のひとつです。
古代にはペルシャ帝国が西アジアの政治と文化を開花させ、その時の遺跡などが今でも残っています。
イランを旅せずして中東を旅したとは言えません。
残念ながら危険が潜んでいる国ではありますが、内戦中でも戦争中でもありません。安全とは言えないので十分注意を払う必要はありますが、何かあってもイラン人が助けてくれると思えてしまうくらいイラン人は優しい印象が私にはあります。
現実以上に怖いイメージを持ってしまってせっかくの観光をあきらめてしまうのはもったいないです。
今回紹介した注意点を理解して、イランの美しさを多くの人に知ってもらいたいと思っています。
外務省のHPに最新の情報が更新されているので渡航前はそちらもチェックしましょう。
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